遅いのは回線のせい?オフィスのネット不調を切り分ける順番

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「最近、社内のネットが遅い」。オフィスでよく聞く言葉です。そして、その原因が本当に光回線にあるケースは、実はそれほど多くありません。原因を取り違えたまま契約を変えても、状況は変わらないままです。ここでは、遅さの正体をどう見極めるかを整理します。

「遅い」は、どこで起きているのか

パソコンからインターネットへ届くまでには、いくつもの区間があります。パソコン、社内のケーブルや無線、ルーターなどの機器、プロバイダ、そして光回線。

水道にたとえるなら、蛇口から水源までの間に何本もの管がつながっているようなものです。どこか一箇所が細くなっていれば、蛇口から出る量は減ります。手元の出が悪いからといって、水源に問題があるとは限りません。

このどこか一つでも詰まれば、体感としては同じ「遅い」になります。にもかかわらず、多くの場合いちばん外側にある光回線が疑われます。目に見えず、契約という形で意識されやすい存在だからでしょう。

原因を突き止めるには、内側から外側へ順に確認していくのが近道です。

順番に切り分けていく

まず、一台だけの問題かを確かめる

最初に見るべきは、遅いのが特定のパソコンだけかどうかです。他の端末では快適に動くのであれば、回線ではなくその端末側に原因があります。

長時間再起動していない、常駐ソフトが多い、記憶領域が逼迫している。こうした要因は、通信が遅いという形で表面化することがあります。一台だけの問題であれば、回線を変えても何も解決しません。

次に、無線か有線かを比べる

社内の全員が遅いと感じている場合、次に確認したいのが無線環境です。

現在のオフィスでは、多くの端末が無線でつながっています。無線は便利ですが、電波が届く範囲や同時に接続する台数、周囲の電波との干渉といった影響を受けます。従業員が増えたり、フロアのレイアウトを変えたりしたタイミングから遅くなったのであれば、無線側を疑う価値があります。

有線でつないだ端末では速いのに、無線だと遅い。この差がはっきり出るなら、原因は回線の外側にあります。

時間帯によって変わるかを見る

遅さが一日中続くのか、それとも特定の時間帯だけなのか。ここも重要な手がかりです。

夕方や特定の曜日だけ極端に遅くなるという場合、混雑の影響が考えられます。社内の利用が集中しているのか、それとも回線側で混み合っているのか。どちらなのかは、社内の利用状況と照らし合わせると見えてきます。

機器の状態を疑ってみる

意外と多いのが、ルーターなどの通信機器そのものが原因になっているケースです。

機器は精密な電子製品であり、長期間電源を入れっぱなしにしていれば動作が不安定になることもあります。設置してから何年も経っていれば、そもそも当時の想定を超える台数や通信量を処理している可能性もあります。

導入したのがいつだったか思い出せないような機器が、社内の隅で稼働し続けている。そういう会社は少なくありません。回線を疑う前に、機器の設置時期を確認してみる価値はあります。

使っているサービス側の問題という可能性

特定のクラウドサービスだけが重い、というケースもあります。この場合、原因は自社ではなく、そのサービス側にあることも少なくありません。

他のサイトは普通に見られるのに、業務システムだけが重い。そうした偏りがあれば、回線を疑う前に提供元の稼働状況を確認したほうが早く答えにたどり着けます。

回線側に原因がある場合の考え方

一通り確認したうえで、それでも回線側が疑わしいとなったとき、見るべき点があります。

接続方式による混雑の受けやすさ

インターネットへの接続には、いくつかの方式があります。従来から使われてきた方式は、利用が集中する時間帯に混雑の影響を受けやすいという性質を持っています。

これに対し、混雑しやすい経路を通らずに接続する方式も普及してきました。夜間や夕方だけ急に遅くなるという症状であれば、接続方式を見直すことで改善する可能性があります。これは回線そのものを引き直す話とは別で、プロバイダ側の設定や契約に関わる部分です。

契約している速度と、実際の利用量

もう一つは、そもそもの容量です。契約時に十分だった速度でも、従業員が増え、扱うファイルが大きくなり、オンライン会議が日常になれば、必要な量は変わってきます。

数年前に決めた契約のまま、業務の中身だけが変わっているというのは、よくある話です。年に一度、今の使い方に合っているかを見直す習慣があると、こうしたずれに早く気づけます。

記録を残しておくと精度が上がる

遅さは、感覚で語られやすいものです。「なんとなく重い」という報告だけでは、原因の特定は進みません。

いつ、どの席で、何をしていたときに遅かったのか。簡単なメモでかまわないので記録が積み上がると、時間帯や場所に偏りがあるかどうかが見えてきます。特定のフロアだけ、特定の時間だけという傾向がつかめれば、原因の候補は一気に絞り込めます。

切り分けができると、相談が早くなる

ここまでの確認を自社で全部やり切る必要はありません。大切なのは、相談するときに「遅いです」だけでなく、どこまで確認したかを伝えられる状態にしておくことです。

一台だけなのか全員なのか、有線でも遅いのか、いつから始まったのか、特定の時間帯だけか。この情報があるだけで、専門の担当者が原因にたどり着くまでの時間は大きく変わります。

遅さの正体を見極めることは、無駄な契約変更を避けることにもつながります。まずは内側から、順番に見ていくことをおすすめします。