移転と開業のスケジュールは、回線から逆算する

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オフィスの移転や新規開業の準備には、決めることが山ほどあります。物件、内装、什器、名刺、看板、届出。その長いリストの中で、インターネット回線は後回しにされがちです。そして多くの場合、それが最初のつまずきになります。

回線は「当日には使えない」

引っ越しの当日に電源を入れれば使える設備と、そうでない設備があります。回線は後者です。

新しい場所で光回線を使うには、申し込みから開通までに一定の期間が必要です。建物に光ファイバーが引き込まれていない場合は工事が必要になりますし、工事には作業日の予約が伴います。

つまり、机とパソコンが揃っていても、回線の手配が済んでいなければ業務は始められません。開業日が決まっているのに回線だけ間に合わない、という事態は実際によく起こります。

逆算の起点を、開業日ではなく「使い始める日」に置く

ここで一つ、実務的なコツがあります。逆算の起点を開業日そのものではなく、その前に置くことです。

新しい拠点では、業務を始める前に準備の作業が発生します。機器の設置と動作確認、業務システムへの接続テスト、複合機やクラウドサービスの設定。これらはすべてインターネットが使える状態でなければ進みません。

回線が開通するのが開業日の前日では、確認の時間がまったく取れません。少なくとも数日、できれば一週間程度の余裕を持って開通していることが望ましいと言えます。

準備の順番を整理する

物件が決まったら、まず建物の状況を確認する

回線の手配は、物件が決まった時点で動き出せます。というより、契約前の段階で確認しておきたい項目でもあります。

その建物に光回線がすでに引き込まれているのか。ビルの場合、共用部から各区画までの配線がどうなっているのか。建物の構造や管理の状況によっては、工事に制約が生じることもあります。

こうした条件は、内見の段階で管理会社に確認しておくことができます。物件選びの判断材料に加えておくと、後になって想定外の期間や手間が発生する事態を避けられます。

現在の契約をどう扱うかを決める

移転の場合、今使っている回線をどうするかという判断が加わります。同じ契約を移転先へ引き継ぐのか、この機会に見直すのか。

移転は、契約内容を棚卸しする良いタイミングでもあります。今の従業員数や業務内容に合っているか、使っていないオプションが残っていないか。数年前に決めた条件のまま更新を重ねているケースは少なくありません。

なお、事業者を変える場合と、同じ事業者のまま住所を変える場合とでは、手続きの流れも必要な期間も変わります。早めに問い合わせておくのが安全です。

繁忙期を避けられるなら避ける

もう一つ、実務的な注意点があります。工事の予約が取りにくい時期があるということです。

年度の変わり目にあたる時期は、移転や開設が集中します。同じ手続きでも、時期によって希望日が押さえられるかどうかは変わってきます。移転の日程に選択の余地があるなら、この点も判断材料に入れておくと安全です。日程が動かせない場合は、その分だけ早く動き出すしかありません。

電話番号の扱いを忘れない

見落とされやすいのが電話です。取引先や顧客に知らせている番号を変えずに移転できるかどうかは、事業への影響が大きい問題です。

番号を引き継げるかどうかは、現在の契約形態や移転先の地域によって条件が変わります。ここは早い段階で確認しておきたい部分です。名刺やウェブサイト、看板の内容にも関わってくるため、判明が遅れると印刷物の手配全体に影響します。

開業の場合に、あわせて考えたいこと

新しく事業を始める場合は、回線だけでなく通信環境全体をゼロから設計することになります。

何台つなぐのか、どこで使うのか

必要なのは、単に回線を引くことではありません。その回線を、どの機器が、どこで使うのかという設計です。

デスクの配置、無線の電波が届く範囲、複合機やレジ端末の設置場所。内装の工事と並行して考えておかないと、後からケーブルを這わせることになったり、電波の届かない席が生まれたりします。

内装業者と回線の手配を別々に進めた結果、コンセントの位置と機器の置き場所が噛み合わない。こうした行き違いは、事前の共有で防げるものです。

相談先を一つにまとめる利点

回線、プロバイダ、機器、社内の配線。開業時にはこれらを同時に手配する必要があります。それぞれ別の窓口に相談していると、スケジュールの調整だけで相当な労力がかかります。

準備期間が限られている中で、窓口が一つにまとまっていることの価値は小さくありません。開業の準備は、他にも決めるべきことが山積みだからです。

数年先まで見込んで決める

もう一つ考えておきたいのが、将来の変化です。回線の契約は、一度決めると数年単位で使い続けることになります。

人員が増える見込みはあるか、扱うデータ量が増えていく業務か、拠点を追加する可能性はあるか。開業時点の最小構成で組んでしまうと、一年後に手直しが必要になることもあります。かといって過剰に備える必要もありません。見通しを立てたうえで相談すれば、適した提案を受けやすくなります。

最初に手をつけるべきものとして

移転や開業の準備リストの中で、回線は目立たない項目です。しかし、時間がかかるという点では上位に入ります。

物件が決まったら、内装や什器と同じタイミングで回線の確認を始める。その順番を守るだけで、直前の慌ただしさはずいぶん軽くなります。